「消防士って、火を消したら終わりでしょ?」そう思っている方がほとんどだと思います。でも実際は違います。火が消えた後にも、知られていない長い戦いが続いているんです。今回は、現役消防士として感じてきた「火災の裏側」を歌にしました。
火災発生〜鎮圧まで
火災が発生すると、職員全員で出動します。市民の生命・身体・財産を守るために、現場に到着したらすぐに消火活動・救助活動を開始します。「人命第一」の活動です。火が鎮圧され、再燃のおそれがなくなっても、すぐに帰署はできません。再燃に備えた常駐警備として、現場に残り続けるんです。「鎮圧したのに、まだいるの?」と思われるかもしれませんが、これが消防の仕事です。
火が消えた後に始まる「原因調査」という戦い
消火活動が落ち着くと、今度は火災原因調査が始まります。ここからが、あまり知られていない消防の裏側です。夜中に火災があった場合、職員は一晩中消火活動をします。そして翌朝から、原因調査が始まるんです。ずっと動き続けていた職員が、そのまま原因調査へ。それぞれの担当者は持ち場に戻り、眠気と戦いながら調査を続けます。
原因調査担当者の任務は「特大」
原因調査には終わりが見えません。1日で終わることもあれば、2日かかることも。さらに過酷なのは、非番・休暇中でも火災があれば招集されることです。いつ起きるかわからない火災に、休みの日もソワソワさせられます。待機中は火災がなければ手当もつかない。それでも、呼ばれれば向かうんです。
また、地震や台風のときは職員全員が召集されますが、火災のときは原因調査担当者だけが召集されます。その責任の重さ、イメージできますか?
それでも、やる理由
体力的にも精神的にも、本当につらいことがたくさんあります。でも、わたしたちがやる理由はシンプルです。「被害に遭われた罹災者のために。類似火災を防ぐために。」火災で家を失った方、大切なものを失った方の顔が頭に浮かぶから、体力が続く限り動き続けることができます。
消防士パパとして、この歌に込めた想い
3人の子どもを持つパパとして、この仕事を続けています。非番の日に招集の連絡が来たとき、子どもと遊んでいる途中でも向かわなければなりません。家族には申し訳ない気持ちもありますが、「誰かの命と暮らしを守る仕事をしているパパ」だということを、いつか子どもたちに誇りに思ってもらえたら嬉しいです。この歌は、同じように頑張っている消防職員仲間へのエールでもあります。
消防士の「当たり前」を、もっと知ってほしい
消防士の仕事といえば、炎の中に飛び込む姿や救助シーンが注目されます。でも、その裏では眠れない夜が続き、休日も携帯を手放せない職員がいます。火災原因調査という地味で過酷な仕事を、誰かがやり続けているから、同じ原因の火災を未然に防ぐことができています。この歌を通じて、消防士の「当たり前」を少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
あなたの街の消防士へ
全国の消防署で、今日も同じように戦っている仲間たちへ。体力が続く限り、一緒に頑張りましょう。そして市民の皆さんへ。住宅用火災警報器の点検、コンロ周りの整理整頓、就寝前の火の元確認。小さな習慣が、火災を防ぎます。私たち消防士が出動しなくて済む町を、一緒に作っていきましょう。
歌詞に込めた現場のリアル
この歌の歌詞は、すべて実体験をもとに書きました。「火災鎮圧、再燃のおそれがない。けど、常駐警備で残るんだ」「翌日の朝から原因調査が始まるんだ。ずっと活動していた職員がそのまま原因調査へ」——これは作り話ではなく、消防士なら誰もが経験する現実です。夜通し活動した後、眠気と戦いながら調査を続ける。その姿を、多くの人に知ってほしくて歌にしました。消防士という職業への理解が、少しでも深まれば嬉しいです。
消防士が本当におすすめする家庭の防災対策
火災原因調査を経験した消防士として、家庭でできる防災対策で最もおすすめしているのが感震ブレーカーの設置です。地震後の通電火災を自動で防いでくれます。詳しくはこちら👇
→ 【現役消防士が選ぶ】感震ブレーカーおすすめランキング|タイプ別に徹底比較
火災の原因ランキングと家庭でできる予防策【消防士目線】
現役消防士として火災原因調査に関わってきた経験から、正直に言わせてください。火事って、決して「他人事」じゃないんですよね。統計的に見ても、住宅火災の原因ランキングは毎年ほぼ同じです。
- 第1位:コンロ(調理中のちょっとした不注意が命取り)
- 第2位:たばこ(寝たばこ・不完全消火が多い)
- 第3位:電気機器・配線(タコ足配線や古いコードのトラブル)
- 第4位:放火(自宅周りの管理も大事)
- 第5位:ストーブ(特に冬場の就寝中が危険)
「コンロって、みんな気をつけてるんじゃないの?」って思いますよね。でも実際の現場を見ると、ちょっと目を離した隙にフライパンが燃え上がったケースがものすごく多い。「すぐ戻るから」が一番危ないんです。
我が家でも子どもが産まれてから、コンロの周りには絶対に燃えるものを置かないルールを作りました。キッチンペーパー、鍋つかみ、レシピ本……全部コンロから離れた場所に。小さなことですが、これだけで出火リスクはぐっと下がります。
もうひとつ、消防士として特におすすめしたいのが住宅用火災警報器の定期点検です。設置している家は多いんですが、電池切れや故障に気づかず放置しているケースが意外と多い。半年に1回はボタンを押して作動確認をしてみてください。もし音が鳴らなければ要交換です。
子どもに火の怖さを教えるタイミングと方法
「子どもに火の怖さ、いつから教えるの?」って、育児パパとしてよく聞かれます。消防士的な答えは「早ければ早いほどいい」です。でもただ「火は怖い!危ない!」と言うだけじゃ伝わらない。
我が家では長男が3歳の頃から、こんな感じで話してきました。
- 3〜4歳:「熱い」「痛い」という感覚と結びつける(ろうそくの炎を近くで見せて「熱いね」と体感させる)
- 5〜6歳:「火は一瞬で大きくなる」という性質を教える(たき火やBBQの場面で実際に見せながら説明)
- 小学生:「もし火事になったら何をするか」を具体的に話し合う(逃げ口の確認、119番のかけ方)
特に効果的だったのは、消防署の一般公開に連れて行ったことです。実際に消防車を見て、防火服を着て、煙体験ハウスに入って……子どもって「本物」に触れると本気で怖さを理解するんですよね。「パパの仕事ってこういうことなんだ」と目を丸くしていた長男の顔は今でも忘れられません。
火の怖さを知ることは、火を「恐れる」ためじゃなく、火と「正しく付き合う」力を育てること。消防士パパとして、これが一番大事だと思っています。ぜひご家庭でも、日常のちょっとした機会に話してみてください。

